メッキが剥げる、魔法が解ける
尊敬していた人の言動は、すべて正しいと鵜呑みにしていた。
だけど、自分で考え始め、誰の言うことも盲目的に信じないことが大切だと気がついたら、尊敬していた人の言動に違和感を覚えるようになった。
永遠の輝きと、何者をも虜にする魔力を持つそれは黄金に例えられる。
また、私の中を占めるそれは蜃気楼のようであり、御神体であった。
だから、ところどころ剥げた金メッキに気がついても気がつかないフリをしていた。
それは全てにおいて正しい。そう信じて疑わなかった。
そして、その魔法をかけたのは他ならぬ自分自身だ。
その人の本質を知ろうとせず、都合の良い解釈をすることで自身を守っていた。
ある日、決して超えることのできない山を登っているはずなのに、全てを見渡せる見晴らしの良い場所に辿り着いた。
そして、自身で思考することを恐れず、その人の欠点すらも家を支える柱の一本と思えばいい、そう気がついた。