文章練習

思いつくままキーボードでカタカタ

普通の人間

文章を、とくにブログを執筆をしようとすると気が重くなる。書き始めるといくぶん気が楽になり、しばらくすると快感になるのはわかっている。しかし、面倒だな、今日はいいや、と後回しにしようと言い訳を考えるのである。

心が折れるというか、持っていかれている。いまさら頑張っても無駄だとか遅すぎるだとか、やっても仕方がないと諦めたくなるのである。

つまりそれは、周囲の高レベルな書き物と比較してしまい、このレベルの状態になりたいのだが追いつかない、間に合わないという現実を受け入れるのに抵抗があるということであって、十分読ませる文章を綴れて当たり前だと自身を買いかぶらなければ、別になんてことはない問題なのである。本質的なことを言えば、自分以外にとっては自分は特別ではないが、自分自身にとっては特別だと認識することなのだと思う。

日記や作文であれば自分が中心で構わないが、人に読んでもらうことを前提とした文章であれば、自分自身を突き放して自身について語らねばならぬのである。

文章力を高めるというのは表現力を高めるということである。ただ単に事実だけを伝えるのであれば日報である。伝達事項だけがスムーズであればよく、表現力は問われない。思っていることを書きたい。事実を伝えるのが目的ではない。しかし独りよがりではならない。

このように、色々と考えれば考えるほど、自身の文章が陳腐でくだらなく感じ、書くのが躊躇われるのである。

最終的に書き始めるのだが、つまりは開き直りである。文章を書き始めるときの感情は、「クソな文章でも構わないから、とりあえず書いてみろ」である。しかし、自分を下げて、どうせ俺の文章なんてゴミだから読む価値もない。書くだけ無駄だと考えてもいけないと言いきかせている。クソな自分を突き放して、客観的に観察し、気がついたことを真摯に書く。格好つけてはいけない。ダメダメでクソな自分を肯定するのである。

なかなか自身を肯定できない原因として、普通でありたいのに普通になれないことがある。

ここ最近でこそ個性を大切にするとか、みんな違ってみんないいとか、歯の浮くようなことばを発する人達が増えたが、俺が子供のころは普通じゃない、まともじゃないと思われていた人間は異端として扱われていたのである。俺にとって、普通扱いされたいという要望は、子供のころに遡るほど根深い問題である。

学校という社会のなかで浮かずに生活ができる、先生の手を焼かせない子が普通で、体が弱かったり、アレルギーがあったり、発達に障害があったりする子、いわゆる配慮が必要な子は、団体生活に支障のある面倒な存在だったのである。こういった子の親が当然の配慮を学校側に求めても、むしろ人権を立てに難癖をつけるクレーマー扱いされるのが当たり前の時代だったのである。

だから体が弱くて頻繁に病欠をしたり、アレルギー体質で年中鼻をかんでいて、授業中フラフラ歩きまわり落ち着きがなかった俺は、先生からすれば普通じゃない、排除したい存在だったようだ。クラス替えのときは、厄介者をだれが引き受けるのか押し付け合っていたようで、うちの学校では対処できないから、養護学校への転校を勧められたりしたのである。

家庭状態もまともではなかったので、あまり仲良くしてくれる人がいなかったような気がする。生活は豊かではなかったが、親は気位が高かった。裕福な家に生まれたのを誇りにしており、もともと貧しい家庭とウチは違うと見下していたのである。それを隠そうともしないで他人に接していたので、揉め事が絶えることがなかった。親戚同士とも疎遠だったので、あまり良い付き合いをした覚えもない。

家が豊かではないのは仕方がない。自分のせいではないからである。しかし、自分が普通じゃないばかりに、扱われ方が他の人と違うのは嫌であった。しかし、自分の扱いを変えろとは思わなかった。むしろそう扱われて当然だと思っていた。

普通の人と扱いが違うのは仕方がない、自分が普通じゃないからダメなんだと、長い間思っていたのである。

なるべく自分は普通なんだと思われるような行動をとろうと必死に考えた。

しかし、その場に相応しい言動をとろうと思っても、それが何かがわからない。そつなくなんでも熟せる人間をうらやましく思った。不惑になったころ、ようやく普通の人間らしい言動ができるようになった気がするが、それは単にパターン認識したに過ぎない。AIのディープラーニングと同じである。

なので、自分が発達障害だと知ったらホッとしたとか、発達障害だから仕方がないと開き直っている人間をみると、あまり気分が良くないのである。もっと普通になりたいと悩めよと思うのである。ちなみに俺は発達障害かどうか診断されていないし、しても仕方がないと思っている。自閉症スペクトラムだから明確な境界がなく程度問題だからである。

ここまで1時間10分 約2000文字。書きたいことは山ほどある。まだまだ続くが、いったん公開する。