文章練習

思いつくままキーボードでカタカタ

好きなものについて書いてみた

勇気を出して、いよいよ好きなものについて語ってみるとしよう。

俺は読書が好きだと以前書いた。今回は本の話である。といっても、普通の本ではない。ゲームブックである。本を読むというより、ゲームを本ですると表現したら良いのだろうか。あくまでも主体はゲームなのだが、本としても面白かった作品は多い。現在でも発売されているのだろうか。

雑誌の付録

初めてゲームブックといえる代物をプレイしたのは小学生のときである。なんかの雑誌の付録だったと思う。薄っぺらい本だった。タイトルには「脱出教室サボリーマン」と書いてあったと記憶している。パーマンみたいなヘルメットを被った小学生男子の漫画絵が描いてあった。

普通の漫画と違うのは、すべてのエピソードに番号が振られていることである。漫画を読み進めると選択を迫られ、選んだ番号に進んで漫画の続きを読むシステムである。

無事に学校を抜け出すのが目的である。間違えた選択をすると先生に捕まり、職員室でくすぐりの刑に処されるのである。校長先生の風貌がファンキーだった。

最後まで正しい選択ができれば、ハッピーエンドまで読み進めることができるわけである。この、普通に読み進められないのが新鮮で面白いと思った。

しばらく弟と楽しんでいたのだが、そのうちに自分たちでも作ってみたくなった。

作るとなると、色々と考えてしまうのが俺の悪い性質である。納得できるクオリティの作品が作れないと思った時点で匙を投げたのである。

ところが弟は、拙いながらも形にしたのである。たとえ内容が粗くても、創り出す行動力は評価したい。仕上がりは良くないが、いちおうゲームブックとしては完成したので、早速プレイしてみた。

 

きみは道を歩いている。丁字路にぶつかった。

右にいく 25へ   左に行く 15へ

左を選び、15を読む。

「ドカッ」不意打ちされた 君は死んだ

 

これは何かのコピペではなく、本当にあった出来事である。

ノーヒントで理不尽すぎるゲームに、「せめて、もうすこし判断材料を書こうよ」と俺はクレームをつけた。

このゲームブックをプレイしたのは、それ一回だけである。

 

本格的なゲームブックとの邂逅

近所の大型書店に立ち寄ったときの出来事である。中学生だった俺と小学生の弟は書店の中をぶらついていた。一冊だけ本を買ってくれるというので、俺はマイペースに好きなジャンルの本を物色していた。弟は本に興味がないので早く切り上げたそうだったが、無視していた。

文庫本が立ち並ぶ一角に、ゲームブックと書かれたコーナーがあった。手に取って読んでみると、漫画ではなく本だが、間違いなくあのゲームブックだった。

サボリーマンの楽しかった記憶が蘇る。しかも一冊の本である。ボリュームも不足ない。

もう、ゲームブックを買うしかない。肝心なのはどのゲームブックを買うかだ。

弟は俄然と本を物色しはじめた。さっきまでの興味なさげな態度が嘘のようである。

俺が選んだのはガンダムゲームブックだった。タイトルは忘れたが、主人公はシャアである。一年戦争直後、シャアが謎の敵に命を狙われるのである。試作モビルスーツが次々とシャアの行く手を阻み襲い掛かってくるのである。魔の手をかいくぐり、生き延びて真実を暴くのが目的といったストーリーだった。アナザーストーリーとしては面白かったし、ガンダムの世界観を共有しているので親しみが深い。だが、真相を知ると飽きてしまった。ほぼ一本道の構造だったから、一冊小説を読んだのと変わらないのである。

 

一方、弟が購入したゲームブックはファンタジーであった。創元推理文庫の「ドラゴンの目」という本である。剣と魔法に優れた主人公が「あなた」として描写されている。主人公は、すでに知られた誰かではなく、あなたなのである。

戦闘に勝利するかは運である。サイコロを振り、出た目によって攻撃が当たったか、こちらが食らったかを判定するのである。プレイヤーキャラクターの体力ポイントが0になるとゲームオーバーである。この点がゲーム性を引き立てている。選択に間違いがなくても運が悪いと死んでしまうからである。

付属するキャラクターシートに名前欄があり、キャラに名前を付けるところから始まるのである。で、弟はなぜかキャラに「アンジェラ」という名前をつけていた。

「それって女の名前だけど。いいの?」俺は不思議に思って聞いた。

「え、そうなの?説明に書いてあった名前だから書いただけだよ」と必死に弁明していた。普段本を読まないから、海外の名前に疎いのである。

そのあとキャラクターシートをみたら、名前欄に鉛筆の殴り書きで「チェン」と書かれていた。こんどは中国人になったらしい。

ゲームブックの取り組み方は、俺と弟では全く異なっていた。

弟はいかに効率よくクリアするかに重点を置いた。この魔法をここで消費すると後で起きるイベントが苦しくなるので強化アイテムは諦めるみたいな行動をとる。

俺は雰囲気や世界観を楽しみたいタイプで、分岐の先が気になるのである。何度死んでも、あちこち納得するまで見て回りたいのである。クリアするのは二の次といった感じの行動である。くまなく探索した結果、選択肢を知り尽くしたので最終的にはパーフェクトにクリア出来た。

「ドラゴンの目」以来、同じような世界観のゲームをたくさん楽しみたくなった俺は、ひと月500円の小遣いをやりくりして、創元推理文庫ゲームブックシリーズを次々と揃えていった。確か、シリーズ全体で6冊あった。半年がかりで揃ったと思う。

それでも飽き足らず、次々とファンタジーゲームブックをコツコツと集め始めた。その当時は様々な出版社から発売されていたのである。

ドラクエ登場

同級生の中で話題になるゲームがあった。ドラクエである。俺の家には長らくファミコンがなかったから、友達をファミコンの話をしたことがなかった。我が家にファミコンが来たのは、ドラクエが発売されてから一年後であった。

従姉妹が高校受験の勉強に集中するために処分という名目で我が家にやってきたのである。しかも、我が家のテレビは故障してから買い替えなかったので、テレビも貰い物だった。なんと白黒である。その当時ですら骨董品と呼べる代物である。

余談だが、俺はブラウン管が終わる瞬間に立ち会ったことがある。テレビを観てたら突然画面すべてが中央の一点となり、真っ暗になってしまったのである。それから叩こうがスイッチを入れ直そうが、永遠に映ることはなかったのである。

ルパン三世の再放送が観れないのが残念であった。親にテレビを買ってくれとねだったが買ってもらえなかった。今となっては懐かしい思いでである。

そういうわけで、初めてやったファミコンゲームはスーパーマリオだが、白黒マリオでプレイしていたのである。

 

しつこいようだが、家にファミコンがなかったので、ドラクエⅡまではリアルタイムでプレイしていない。なので、同級生たちとゲームの会話をしていても噛み合わないことがあった。ゲームブックでファンタジーゲームについての知識は深まっていたのだが、コンピューターゲームとは異なる部分が多かったのである。

ヒットポイントの概念は共有していた。これは問題ない。だが、ドラクエではレベルアップするのだが、いままでプレイしたゲームブックにはレベルアップの概念はなかったのである。

なんといっても、ドラクエファミコンがないとプレイできない。ファミコンが我が家にやってきた後もソフトは購入しなくてはならない。中学生にはハードルが高かったのである。なので、ドラクエとはしばらくの間距離をおくことになる。

TRPGに興味が向かう

というわけで、同級生がドラクエをやっている頃、俺はゲームブックを入口としてTRPGに興味を持つ。TRPG用品は専門ホビーショップでないと在庫していない。俺はチャリで一時間かけて毎週のように物色しに行っていた。金がないから買えないのだが、トレンドを知りたいのと雑誌を立ち読みして知識を仕入れていたのである。

最低限必要なのはゲームマニュアル(ルールブック)とダイス(サイコロ)である。

余裕があれば買いたいのが、駒につかうフィギアとか、別売りのゲームシナリオなどである。

TRPGで最も有名なのがD&Dである。で、D&Ⅾを含むすべてのファンタジーRPGに多大な影響を与えているのが「指輪物語」という小説だと知ったので、さっそく読んでみる。

そのあと、ショップで知り合った高校生とプレイしたりするが、それはまた別のときに話そう。

一通りTRPGの知識を身につけてからファミコンRPGに進んだので、同級生たちより回り道した分モンスターや武器の由来などに詳しくなる。だから同級生の意見などが浅く感じてしょうがなかった。

ファミコンが手に入ってから、一番初めに購入したRPGは「ファイナルファンタジー」だった。たしか千円で同級生から購入した。なかなか本格的なゲームだったと思う。

そのあと、ドラクエⅡ、ドラクエⅢと進む。ソフトはやり飽きた同級生から借りた。

初めて新品で購入したのはファイナルファンタジーⅡである。これはコンピューターRPGでは最高傑作だと未だに思っている。世界観と成長システムが個性的で素晴らしい。

ドラクエⅢは発売日にカツアゲ騒動が社会問題になるほどの人気だったが、高校受験が目前に迫ると、勉強のできる同級生はファミコンの話をしなくなった。相変わらず落ちこぼれの連中たちはドラクエⅢをやりこんでいた。

金持ちの同級生から、セガマークⅡとブラックオニキスというRPGを借りて遊んだ。みんな勉強しているんだなと思いながら学校を休んでゲームをするのは最高だった。

「なんかやばくね」。危機感はあるのだが、どうせ勉強を今さら頑張ったって意味ないと開き直っていた。

焦燥感が残ったまま、惰性でゲームをしているか、ゲームブックをしているか、図書室や図書館で借りた本を読んでいるかだった。中学3年に勉強を頑張った記憶はほとんどない。宿題も復習もしないまま、なんとなく授業を受ける毎日だった。

将来の夢がないし、行きたい高校もなかった。なんとなくゲームをするために生きているような生活だった。親からも「クズ人間」と言われ続けたが、その通りなので言い返せないままダラダラと過ごしていた。

学校では、ゲームブックTRPGの深い話ができる奴がいなかったので、誰とも話さなかった。

ドラクエの話はしたが、世界観より裏技やPCの強化にしか誰もが興味ないようだったので、つまらなかった。

まだまだ続くのだが、今回はここまでにしておこう。

約3900文字 二時間40分所要

中身のない思いで話なので、考えないで書けた。

どんなくだらない内容でも、書かないよりはましなはずである。

たとえ読み手がいなくても、チラシの裏の落書きではなく、ていねいに伝わるように書けばすこしずつ上達すると思って頑張るしかない。